2005年08月13日

私とユウキ

お題:犬





      お前ほど、

      名前負けしてる犬はいないだろうね



私とユウキ




木々達が紅く色づき始める頃。

少し早すぎるのではないかと思われるコタツに潜り込み、

甘く熟れ切れていない蜜柑をほおおばりながら

私は一足早い冬を堪能していた。


何気なくつけたテレビからは、耳障りな笑い声が響いてくる。

しきりなしにリモコンでチャンネルを押してみる。

どれもしょうのない番組ばかり。


不機嫌さを隠す事無く、私は盛大な溜息をついた。



ふと、二匹の犬の遠吠えが当たりに響いた。

ひとつはまだ幼い響きの残る声色。

でもその中に強い意志が感じられた。


そして・・・・、このもう一方の情けない泣き声は・・・っ!!



聞き覚えがありすぎて涙が出てくる。

コタツから這い出て玄関脇にかけてある箒をひんづかみ、

玄関のドアを勢いよく開ける。


その大きな音と、いきなり現れた人間の姿に驚き腰を引いた小柄な犬。

近所でよく見かける野良犬だ。


対する、彼に背を向け

放置してあったバケツに顔を突っ込んでガタガタと震えているのは・・・


悲しいかな、うちで飼っている馬鹿犬だ。

大柄な体とは対照的にてんで気が弱い。



ここまで”ユウキ”という名前が似合わない犬はないだろう。




頭痛のする額を押さえながら、

私は野良犬を箒でしっしっと追い払った。

犬同士の戦い(?)に人間が立ち入るのはタブー。


だが、このままほおっておけばユウキが危ない。



(お前も、こんなどうしようもない奴と争っても仕方ないだろ。)



そう、訴えかけるとその野良犬はあっさりと身を引いた。

彼自身、

本当にどうしようもない我が犬に愛想をつかしていたのかもしれない。


苦労してるな、と

そんな風に私に鼻を鳴らしてみせるその姿に

頭痛はなお激しさを増すのだった・・・・。



「あんなちっこいのにまで負けて・・・

 お前悔しくないんか?」



残された後、敵が去った事を察知し

バケツから顔を引き抜こうともぞもぞやっているユウキに

私は呆れ半分怒り半分に言い放った。



「うち、弱い奴は嫌いやいうてるやろ!?

 強く、強くなけなあかんのや!!」



今や口癖になった台詞を吐き捨てる。

中々顔が抜けず七転び八起きの悪戦苦闘の末、

やっと解放されつぶれた顔をさすりながら



「堪忍してぇな。わて、争いごとは好かんねん・・・。」



とでも言うかのように、

ユウキは悲しげに耳と尻尾を垂れた。






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posted by 霧沢美咲 at 11:50| Comment(4) | TrackBack(0) | お題ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これおもしろぃわぁw
ユウキの姿が目に浮かぶ。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ
実家でイヌ飼ってたから、なお更かわぃくおもえます。
Posted by まこティ at 2005年08月13日 20:12
面白いですか!うわぁ、ありがとう御座います♪
楽しんで貰えたようで何よりです☆
まこティさんは犬をかっていらしたんですね!
私は、実は犬を飼った事がなくて、
「こんな感じだったら楽しそうだなぁ」という
願望が入っているお話なんですよ、これw
Posted by 美咲〜まこティさんへ at 2005年08月13日 20:43
Σ(- -ノ)ノ エェ!?
願望でここまでリアルに。すごぃです。
バケツに頭を突っ込むことはリアルにはないかもしれないけど、そこがまた臆病さが出てていい感じですよ。
Posted by まこティ at 2005年08月13日 21:55
もしかしたら、願望だからこそ
ここまで書けたのかもしれませんよ?(笑)
余計な事、考えずに済むから♪

やっぱり、バケツに頭を突っ込む事はありえなさそうですかねぇ・・・。
まぁ、臆病さを感じて貰えれば、万事オッケーなのです(σ`・ω・)σ ♪
「良い感じ」と褒めて貰えて凄く嬉しかったです^^
有難う御座いました!
Posted by 美咲〜まこティさんへ at 2005年08月14日 22:45
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