2005年08月27日

紫水晶 第三章_悲劇の幕開け2

■前回のあらすじ  読み直して見る?


 杉原結城と片桐竜也は、幼稚園からの腐れ縁。

 俺達二人は東森中学校の生徒会長と副会長をやっている。


 ある日、学校に向かう途中

 人だかりが出来ているのを目にした二人。

 その中心には、一人の少女の姿があった。

 サングラスをはずし、少女の目を見つめた結城は

 意識が遠のいていくのを感じた。 



私は見ていた。副会長がかけていたサングラスを取った瞬間、

私を見て目がうつろになっていくのを。

そして、今私の目の前にいる人達のように私の事を見つめる瞬間を・・・。

私が彼に何か影響を及ぼしたのだという事はもう、明らかだった。

でも私には何も分からない。

何も知らない。

生徒会長は急に変貌してしまった副会長を振り返り、

息をのんでそんな彼を見つめていた。

が、すぐに彼の肩に手をかけて、どうしたんだと揺さぶり始めた。

だが、副会長は相変わらず私を例の目≠ナ見つめていた。

私はもう怖くて怖くて涙が次から次へと溢れ止まらなかった。

噛み締めていた唇からかすかに嗚咽が漏れ出したのを、

耳ざとく聞きつけた生徒会長がふと私のほうを見た。

そして私が泣いているのを目に留め、困ったような表情を浮かべた。

そして、彼もまたサングラスを取ろうと、それに手をかけようとした。


  駄目だ・・・!


私はすぐに直感した。

副会長は、サングラスを取ってから可笑しくなった。

それだけは分かっていた。

私は生徒会長に向かって精一杯、首を横に振って見せた。

見せたつもりだった。

だが、私の体は

最初に周りの変貌振りを目の当たりにしたあの時から固まったままだった。

私の必死の訴えもむなしく、彼はサングラスをほとんど取り掛かっていた。

その彼の動きを止めてくれたのは、聞き覚えのある一人の少年の声だった。

その声は、私の背後から聞こえてきた。


「会長さん、サングラスは取らないでくださいね。」


振り向くと、そこには私の幼なじみの葉瀬優也が立っていた。

彼は私ににっこりと笑いかけながら、


「大丈夫だよ。さあ、目をつむって。」


と囁いた。

訳が分からないままにも、私は素直に従う事にした。

目をつむった途端、周りが騒がしくなったのを私は感じた。


「あれぇ、もうこんな時間?」

「うそっ、遅刻じゃん。」

「何で俺、こんなところに突っ立ってたんだろ?」

皆が口々に、可笑しいなぁと口走りながら

次々に私の周りから離れて行くのに私は、少なからず安心を覚え、

ほっと息をついた。

そして少しだけ目を開けて辺りを見渡してみる。

するとサングラスをかけなおした生徒会長と、

その生徒会長に無理やりサングラスをかけさせられて

目を白黒させている副会長と目が合った。

生徒会長は、私に向かって何か言いたげに口を開いた。

人と話す事をずっと拒み続けてきた私は、

そう話しかけられることに少し怯えを感じていた。

思わず身を硬くしたが、

彼のその動きは学校から物凄い形相で飛び出してきた指導部の先生によって

中断させられた。


「お前等、遅刻だぞっ!何だ、そのサングラスは?

駄目じゃないか、そんなものしてきちゃ。お前達らしくもない。

ほれ、行った行った。

葉瀬に・・・そこの女子生徒、お前等もさっさと教室に行かんか!」


生徒の名前を完璧に覚えてる事で有名なその先生は、

まだ知らずにいた私の事に首を傾げつつ、

生徒会長と副会長の肩を掴んで


「お前等が遅刻しちゃ駄目だろう?」

と注意しながら歩き出す。

肩を押され力ずくで連れて行かれる二人が上げる、

ちょっと待ってという講義の声には耳もくれずに、

彼は二人を学校の中へと連行して行った。

残された私は、ふと隣に立った幼なじみの方を見た。

彼は、連れて行かれた二人の方向に目をやりながら、

彼等も大変だなぁ、と苦笑していた。

そして、彼は急に私を振り向いて


「僕達も、行こうか?」


と聞いてきた。

彼のその言葉に、私は信じられない思いで呆然として彼を見た。

幼なじみと言っても、彼とこんな風に話したのはこれが初めてで

(というか、私がそういうのを拒み続けてきたからなのだが)驚いたのだ。

そう言ってくれるという事が。

だが、先ほどの出来事が頭の中によみがえってきて、

私は再び恐怖に襲われた。涙が溢れ出しそうになって私はうつむいた。

どうかしたの、と優也が覗き込んできそうだったので私は、

思わず言い逃げをしてしまった。


「行かない。さよならっ。」


後ろで彼の私を呼ぶ声が聞こえてきたが、私は立ち止まらなかった。

そのまま、通勤・通学ラッシュを過ぎ、人通りが少なくなった通学路を、

私は誰も見ずそして立ち止まることなく家を目指して走り過ぎた。

ただ、独りになって落ち着きたい、そう思っていた。







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posted by 霧沢美咲 at 11:10| Comment(2) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一話事に視点が変わるのって良いかもしれないですね♪
今までにあまりない奇抜な観点って引きつけられますよね。
Posted by てっちゃん at 2005年08月27日 22:02
やった!
「分かりにくい、まどろっこしい」って言われたら如何しようかと思いましたっ。
私も、それぞれの視点で見られてるのって好きなんですよ〜♪
たまに、ちょっとひつこいんじゃないか?って思う時もあるんですけれどね。
そこは、難しいなぁと思います><

今のところは、大丈夫そうかな?
Posted by 美咲〜てっちゃんさんへ at 2005年08月27日 23:10
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