2005年08月30日

紫水晶 第四章_思い出の日

■前回のあらすじ  読み直して見る?


 少女を見つけるのは、かなり難しかった。

 途方にくれる二人の下に、

 見覚えのある少年が声をかけてきた。

 そう、朝、少女と親しげに声を交わしていた例の少年だった。

 少年は、少女の幼馴染らしい。

 道は開かれた!

 3人は、少女の家へ行く事にした。




第四章 思い出の日


「いないのよ。」

彼女の母親から聞かされたのは、この衝撃的な言葉だった。

僕たち三人は言葉を失った。


「いないって・・・それ、どういう事ですか?」


優也が強張った表情で彼女の母親に畳み掛ける様に問いただす。

母親は困った様に首を傾げ、ゆっくりと話し始めた。


「今日、確かにあの子家に帰って来たのよ。朝すぐに。

学校に行かずに帰って来たのね。それは、はっきりと覚えてるわ。」


けどね、と母親はふと口を閉ざししばらく考え込んだ後、

首を振って答えた。


「やっぱり。その後、あの子と何をしたかって記憶がまったく無いのよ。

どうしちゃったのかしら、私?」


恥ずかしい事を告白してしまった事で、顔を真っ赤にして母親は俯いた。

だが、これで僕達は確信した。

きっと、ここでも今朝のような事が起こったのだ。

母親も彼女の瞳を見て自我を無くしたのだろう。

一番の安らぎの場所であろう自宅で、

彼女は安らぐ事も出来ずに飛び出したのだ。

今朝もあんなに怯えていたのだ。

彼女は、もしかしたら自殺に走ってしまうかもしれない。

ただの好奇心で済ませてしまえるような事ではすでになくなっている。

事の重大さをあらためて実感させられた。

僕は緊迫した思いを隠すため、確認も兼ねて母親に尋ねた。


「捜索願の方は?」

「もちろん、出したわ。」


その事に少なからず安心し、僕はどうしたらいいのか分からずに、

そわそわと手をいじっている母親を落ち着かせるように笑って見せた。


「大丈夫ですよ。僕等も、捜します。」

結城を振り返り、促すと、彼も頷き返してきた。


「ごめんなさいね。お願いするわ。」

申し訳なさそうに、母親は頭を下げた。


「そんな、気にしないで下さい。」

手を上げてそう言って、僕等は礼をいい、彼女に背を向けて走り出した。

走り去る彼らの後ろでは母親が、

彼らの後に続こうとした葉瀬優也に尋ねた。


「優也君、彼等も揚羽の友達?」


その声はどこかうれしげだった。

自分が離婚したせいで

彼女に窮屈な思いをさせてしまっているのではないかと、

この母親自身も常に心配していたのだ。

だが、彼女がそうやって普通の子の様に心配してくれる人がいると言う事を

知り、安心したのだろう。

葉瀬優也も目を細めてどこに行くべきか相談している二人の方を見つめ、

母親に笑いかけた。


「ええ、彼女を思ってくれる人は、ちゃんといるんですよ。」




面白かったらクリッククリック♪


人気ブログランキング / 学生ブログランキング



posted by 霧沢美咲 at 08:56| Comment(4) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
前回の続きだよ♪
物語には起承転結があるのはご存じの通りなんですが、またその中に起承転結。またまたその中に起承転結。あんまりありすぎるとバランス悪くなるから適度に入れるといいんじゃないかな?読み返して話を膨らましてみたいって思ったなら入れてみていいんじゃないかなって思います。

今回の疑問は『自分が離婚したせいで…心配していたのだ。』の下りなんですが初対面でそれを知っているのか不思議なんですよ。ここは推測か『うれしげだった』の説明の方がいいのかもしれません。どの人の視点なのかなりきって考えてみると見えてくると思います。

素人なのに色々口を挟んでごめんねm(_ _)m
いい作品だからもっといい作品にして欲しいんだよね♪才能あるから少しでものばして欲しいから(^_-)
Posted by てっちゃん at 2005年08月30日 23:09
えと、つまり、起承転結がないって事ですか??
話し全体としての起承転結じゃなく、
1話事に(適度に)起承転結を入れた方が良いかもって事でしょうか??
あ、あと
優也君は、揚羽ちゃんの幼馴染だから(仲が良いという訳じゃないけど)
彼女の家の事情の事とかは噂で聞いた事があっても可笑しくないかなと思ったんですけれど・・・駄目かな^^;
それともう一つ、
ここでは揚羽ちゃんは自分が裏切られたと思ってて、誰も信じなくなっちゃったけど
「ちゃんと心配してくれてる人がいるんだ。勿論母親も。」
という事が言いたかったので、そのくだりは入れたかったんですぅ〜><
でも・・・そうか。不自然かなぁ〜・・・。
ああ、でも始めは竜也君の視点だったのに、急に優也君の視点になってるのは可笑しいですよね(汗)
Posted by 美咲〜てっちゃんさんへ at 2005年08月31日 11:15
起承転結がないって事ではないんですよ。細かい起承転結を入れた方が分かりやすいところが出てくると思うんですよ。でも使うタイミングを間違えると変になることは否めないですけど。
視点変更の際は誰の視点か分かるようにした方がいいんじゃないでしょうか?より分かりやすくするのも読みやすさに繋がりますしね。
読み手と書き手では分かっていることが違ってくるので、書き終わった後、一度頭を空っぽにして読み手として見て何度も読み返してみるのも大事だと思います。
「ちゃんと心配してくれてる人がいるんだ。勿論母親も。」
下りをどうしても入れたいってのは見ていて分かります。そこの冒頭で以前噂で聞いたってのを入れるとより分かりやすくなると思います。
『僕等は礼をいい、彼女に背を向けて走り出した。』ってところをすっかり忘れていたんですが、ここが終わった時点で視点切り替えしてるんですよね。読みが浅かったって反省です…。
Posted by てっちゃん at 2005年08月31日 13:59
ふむぅ〜、難しいですね><
でも、確かにそんな気がします!
あ、あと何度も読み返してみるっていうのは本当に大事ですよね。
だけど、ついつい先に行きたくて疎かになっちゃうんだなぁ・・・反省っ!!
分かりました、今度直す時に気をつけてみます♪
Posted by 美咲〜てっちゃんさんへ at 2005年08月31日 21:39
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。