2005年08月29日

紫水晶 第三章_悲劇の幕開け4

■前回のあらすじ  読み直して見る?


 竜也は結城に可笑しくなった時の経緯を話した。

 信じてくれないかもしれないと思ったが、

 結城はあっさりと信じてくれた。

 僕達二人は、独りで怯えながら涙を流していた少女の事を思い出す。

 一体、彼女の身に何が起こったというのか?

 真実を見極めてやろうじゃないか!



 実際、あの女子生徒を見つけるのは難しかった。

一年生と言う事と、顔ぐらいしか分かってないのだ。

名前もクラスも、何も分かってないのだ。

僕達の中学校は、一学年だけでも五百人を超える大規模な学校だ。

一つ一つのクラスを覗いていくにも十二組まである。

しかも、休み時間はクラスに全員が残っているという事は滅多に無い。


違うクラスに遊びに行っている生徒。

お手洗いを済ませる生徒。

部活や委員会に出席している生徒。

指導部に呼ばれている生徒。


そんな中で、一人の生徒を見つけ出す事は簡単な事ではない。

だが、そんな事を言ってなどいられない。

僕達は二手に分かれて次から次へと、一つ一つクラスを覗いていった。

だが、彼女は一向に見つからない。


「駄目だ、竜也。どこにもいない。」


息を切らせながら、結城が二階の階段の手すりから顔を覗かせた。

こっちにもいない、と彼に返事を返しながら僕は息を整えながら考え込む。

結城も下に降りてきて、額にうっすらと滲んだ汗を拭った。

もう、学校内はくまなく捜した。と、なると・・・。


「彼女、学校にきてないのかもしれない。」


僕のその言葉に、結城は顔を上げて渋い表情になった。

やっぱり、そう思う?というように。

あり得ない話ではない。

彼女は自分でも何が起こっているのか分かってない。

そんな状態の中、目の前であんな事が起こって平気でいられるわけが無い。

あの時、彼女は確かに泣いていた。

唇を噛み締めていたけれど、確かに聞こえた。

ただ独りで、助けを求める事も出来ずに

必死にこらえようとしていた彼女の苦悩の表情を思い出し、僕は唇をかんだ。


「そうなると、ますますどこにいるのか分からないな。」


参ったな、と二人揃って渋い顔をして立ちずさんでいる時だった。


「会長さんに副会長さん。揚羽さんを捜しているんですか?」


と、後ろから声をかけられたのは。


「あ、朝の・・・!」


結城が振り向いて、大声を上げた。

そう、僕達に声をかけてきたのは朝、

僕に声をかけた例の一年生の男子生徒だった。


「揚羽って・・・今朝のあの女子の事か?知ってるのか、彼女の事!」


結城が興奮した声を出した。

僕も思わず身を乗り出す。

そんな僕達の様子に少し驚きながら、彼はにっこりと笑って頷いた。


「ええ、知ってますよ。やっぱり捜しているんですね?」


そういう彼は、すごく嬉しそうだった。彼は続けた。

「僕、葉瀬優也っていいます。

彼女の幼なじみ。今日彼女の様子が可笑しかったんで心配してたんです。

会長さん達も、そうなんですね。」

「幼なじみ!?」

結城と僕の声が重なった。

結城と僕は、お互いに顔を見合わせて深々とため息をついた。

確かにこの二人は今朝、まるで知り合いであるかのように話していた事を、

僕達は思い出したのだ。

ようにではなく、本当に知り合いだったのだ。

なぜ、すぐに気がつかなかったのだろう。

捜さなくてはならなかったのは、彼女一人ではなかったのだ。

彼の名前は、指導部の先生が呼んだのを覚えている。

何か、俺達って馬鹿?そう、ぼそっと呟いた結城に僕は肩をすくめた。

人間は思いつめると、一つのものしか見えなくなる傾向があるらしい。

まぁ、いいじゃないかこのさいと彼に返しながら、

僕はきょとんとこちらを見ている優也に向かって尋ねた。


「彼女の家に、案内してくれないか?」


「分かりましたっ。」




道は開かれた。

こうして僕達は自分の足で、物語の中へ第一歩を踏み出して行った。




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posted by 霧沢美咲 at 11:57| Comment(2) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うまく表現出来ないんですけど、ストーリーはかなりいい感じだと思います。
もう少し物語に厚みを出せればもっと良くなると思います。
でも、ここまで書けるってのは凄いです。才能だよね♪
Posted by てっちゃん at 2005年08月30日 09:25
そうですか〜♪
私もストーリー自体はまぁまぁ気に入っていたんです☆
だけど、それに臨場感をもたせるだけの表現力がついていかなくて・・・><
それで、一度手を加えようとしたんだけど、どっからどう手を入れて良いやら・・・危うい状態だし・・・結局手を出せなかったんです^^;
うーん、難しい・・・。

Posted by 美咲〜てっちゃんさんへ at 2005年08月30日 19:42
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