2005年09月04日

紫水晶 第六章_新たな仲間

■前回のあらすじ  読み直して見る?

 揚羽は話し出した。

 今朝の夢での出来事を。

 「見知らぬ少女と目が入れ替わった」なんて。

 信じられる訳がない。揚羽自身、信じる事が出来なかった。

 だが、彼らは信じてくれた。



 さぁ、まずは少女探しを始めよう!!


第六章 新たな仲間


花園学園近くの電柱の影に隠れるようにしてたたずむ二つの影。

うなだれて、電柱にもたれかかっているようにもみえる。

彼らはひどく落ち込んでいた。

それも仕方のない事かもしれない。

なぜなら出来れば知らずにいたかった女子高の姿を知ってしまったのだから。

花園学園。

そこは市内でも有名なお嬢様学校。

見た目は清楚でつつましい・・・のだがしかし、その実態は・・・・。


「きゃーっ。男よ男っ!!」

「いやーっ、かっこいいー。」

「ねねっ。どこの中学生??」

「何しに来たの?私が校内案内してあげよーか?」


校門のところで躊躇していた彼ら二人に気がついた女生徒達が殺到する。

まるで新年早々、福袋に群がる客のように・・・。

あまりのすさまじさに、半ば逃げ腰になりながら一人が口を開く。


「いや・・あの・・人捜しをしてるんだけど・・・。」


顔が引きつりそうになるのを必死に堪え、

精一杯の勇気を振り絞って言った言葉だったのだが、

どうやら恋愛に飢えた彼女たちにはそんなものは聞く気がないらしい。


「あら、私が案内するわ。」

「そんな、ずるいわ。私が案内しますよー。」


好き勝手に騒ぐ彼女等を渋い顔で彼等は見る。

どうする?と二人が顔を見合わせた時、彼女等が一斉に彼等を振り返る。

思わず身を硬くする二人。

彼女等の目が怪しく光る。


「・・・そうだわ。彼らに決めてもらいましょうよ。」

「・・・いい、かもね。それが一番平等だわ。」

「ねねっ。誰がいい??私だよねっ?」


皆、顔は笑顔だが、目は笑っていない・・・。

身の危険を感じた彼らは一歩、また一歩と後づさる。

それに合わせて彼女等も一歩、また一歩と足を踏み出す。


「・・・・・・・。」


お互いに慎重に間合いをはかる。

緊迫した空気が辺りを漂う。

最初に根負けしたのは男性二人。


「ごめんっっ。また今度にするよっ。」


そう出来うる限り落ち着いた声で言えるよう心がけながら、

彼らは引きつり笑いを浮かべ、その場を足早に離れたのだった。

そして、今に至る。




「・・・二度と、入りたくはないな。」

「同じく。」


はぁぁ・・・。盛大なため息をついて、彼等は空を仰ぐ。

彼等の名は、片桐竜也と杉原結城。

目が入れ替わってしまった二つ年下の少女、

花西揚羽の身に起こっている謎を解き明かすため動き出した彼等だったが、

先日彼女に描いてもらった夢に出てきたという美少女の着ていた服が

ここ花園学園の制服なのに気づいたのだ。

彼女は人と接する事が苦手だったため、

今までずっと気がつかなかったらしい・・・。

何度も頭を下げる彼女を見てると、

何だかすごくいたたまれない気持ちになってくる。

気がつかなかった、その事実はいかに彼女が周りから遠ざかっていたか、

自分だけの殻に閉じこもっていたかをじかにあらわしていたから・・・。


気にする事ないよ、

とそう言って早速聞き込みにやって来たわけだったが・・・あえなく玉砕。

大丈夫、と確信もなく啖呵を切って出てきてしまった手前、

情けなさすぎてしょうがない。

このまま帰るなんて事は出来ない。

何か何でもいい、持ち帰らなくては。

今日は、まだ聞き込みをするのは無理だろうって事で

家に待機させているため揚羽はここにはいない。

優也も彼女に付き添っている。

彼女にこれ以上辛い思いをさせないように頑張る事。

それが今の俺達に出来る事。


「とは言っても、どうすっかなぁ・・・。」


ため息一つついて、腕を組み考え込む結城。


「誰かに頼むか・・・?」


そう言う彼に、竜也も、それしか方法はないなと頷き返す。


「なるべく一人の娘、選んだ方がいいよな?」

「ああ、そうだな。」


そう言って辺りを見渡す事しばし。

めぼしい少女が一人、彼らの前を通り過ぎて行く。

彼等は互いに無言で合図を送りあう。


       ターゲット、確認


そんな二人の視線に気づいたのだろうか。

ふと、彼女が振り返る。

そんな彼女に結城は人好きしそうな笑顔を浮かべる。

ほとんど反射的な行動だった。

隣の親友のその身のこなしの素早さに圧倒されながらも、

竜也もまた精一杯それに倣う。


「あのさ、ちょっといいいかな?」


笑顔を崩さずに、結城は彼女に尋ねる。

彼女はきょとんと二人の顔を見つめながら、


「何??」


と首を傾げた。

どこか楽しげな表情の彼女は、人懐っこくて素直そうな娘だった。

どうか頼みを受け入れてくれますようにと、期待しながら結城は続けた。


「そこの花園学園で人捜しをして欲しいんだ。

ここに似顔絵があるから・・・。お願い、出来るかな?」


困ったように彼女を見上げると、

彼女は差し出された紙に視線を移し、そして再び彼等の顔を見ながら


「お兄さん達はやんないの??」


と聞いてきた。

彼等は思わず、うっと言葉に詰まる。

先ほどの出来事を思い出してしまった。

頭を思いっきり振り、力なく苦笑いを浮かべる彼等に、

彼女は首をひねりつつも深く追求はしなかった。


「何か、わけありみたいっすねー?いーよ、任せて!

この秀美(ひでみ)ちゃんがちゃーんと、聞いてきてあげるから。」


にっこり笑って彼女は学園の中へと入っていった。

それにほっと胸を撫で下ろし、結城は浮かれた気分で、

慣れない事をして疲れ切った顔で座り込んだ親友に笑いかけた。


「ラッキー。いい娘で良かったよな。」


そんな彼に苦笑しながら、竜也は誰にも聞こえないぐらいの小声でぼやく。

「結城って・・・、いつもながら女殺し・・・。」




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posted by 霧沢美咲 at 10:01| Comment(2) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
花園学園の女生徒はいい男にコロリですね(≧∇≦)ノ彡
意外と謎の少女は黒魔術同好会なんかだったりして☆秀美ちゃんはそのメンバーだったら面白いなぁ♪なんてことは無いなぁ。
挿絵欲しいですね。
Posted by てっちゃん at 2005年09月04日 22:16
ええ・・・コロリといっちゃってます^^;
く、黒魔術同好会ですかっ!?
それはまた凄い!!・・・でも、面白そうかも?(笑)
挿絵、私も欲しいですぅ〜。
だけど、自分では描けない・・・っ!!
あ、友達が描いてくれた挿絵がいくつかあるので
それをUPしますね☆
思い出の日3にUPし忘れた分もUPしておくので
見てくれると嬉しいです♪
Posted by 美咲〜てっちゃんさんへ at 2005年09月04日 22:50
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