2005年09月14日

紫水晶 第十一章 瞳に込められた想い

■前回のあらすじ  読み直して見る?

 怒りに囚われ、攻撃を繰り出してくる彼女を止めた影

 黒いフードを身に纏い、手には大きく鋭い鎌が握られている。

 死神だ。

 だけど、フードの下から表れた顔に 何人かは衝撃を受けた。


 新たな出会いと共に、悲しい別れがやって来る。

 さようなら。



第十一章 瞳に秘められた想い



「それじゃ、君達にはたくさん迷惑をかけてしまったようだね。


 でも、ありがとう。エリウッドの手助けをしてくれてうれしかったよ。」


「いや・・そんな。」


口ごもる彼等に、今度はエリウッドが笑った。


「ううん、本当にうれしかったよ。


 初めはね、父さんを殺したみたいなものの人間が


 どんなものなのかが気になって、こうしてこっちに顔を出したんだ。


 ちょっと僕も人間を恨んでいたんだよ。


 けどね、君達に会えて本当に良かった。だからね・・・」


そしてうつむいている竜也に彼は


「そんな思いつめる事はないんだよ。大丈夫だからさ。」


と言った。竜也はそんな彼等に深々と頭を下げた。


「それじゃ、そろそろ行かなくちゃいけないな。


 エリウッド、しっかりやるんだよ。


 父さんも母さんも、


 それに・・・あの子もずっとお前の事を見てるんだからね。


 それに度々、会いに来るよ。」


そう言って、父親は少し苦笑しながら


「死神になんか、そう会うもんじゃないだろうけどね。」


と言った。それに


「死神なんかじゃないだろ。父さんは父さんじゃないか。」


と答えながら、エリウッドは笑った。


それに満足げに頷き、父親は身を翻して消えた。





*   * * * * * * * * * * * *    *


その場に残された六人はしばらく無言だった。


初めに口を開いたのは結城だった。


「エリウッド、これからどうするんだ?」


両親を失い、彼女も失った。


「うん?なんとかなるよ。今までもずっと一人でやってきたんだ。大丈夫。」


彼は答えた。その彼に、竜也は言った。


「いつだって、こっちに顔出してくれていいんだ。


 僕がこんな事言える義理じゃないのかもしれないけど、


 友達、なんだからさ。」


彼のその言葉に、エリウッドは少し驚いた顔をしたが、


すぐに満面の笑顔を浮かべて


「友達か、そうだね。うんありがとう。また遊びに行くよ。」


と言った。そして、ふと揚羽の方を見て


「あと、そこの彼もうしばらくしたら目を覚ますから心配ないよ。


 それに僕が体を貸してもらってしゃべってたとは言え、


 彼が君の事を思ってたことに嘘はない。


 彼に体を貸してもらう時、聞いたんだ。」


と言った。


揚羽は彼のその言葉に、隣で眠ったままの彼の顔を見た。


そして軽く微笑んだ後、頷いた。


ずっと、大切にすると。


それに頷き返し、


エリウッドは少し名残惜しそうに辺りを見渡していたが、


それじゃ、と手を上げて飛び立っていこうとした。


その時だ。




「ちょっと、待ってくれ。」


誰かの声がした。聞き覚えのない声に驚いて振り向くと、


その声の主は秀美だった。男の声に戻っている。


「どうしたんだ?」


結城が尋ねると、秀美はエリウッドの前に立って自分の手を突き出した。


彼の手には何かが握られていた。


彼が握っていた手を広げると、そこにあったのは一つの宝石。


紫水晶


「どう、したの。これ?」


その宝石を見つめ、エリウッドが尋ねると、彼は


「真由子さんが消えた場所に落ちてたんだ。」


と答えた。


「真由子の?」


そういって、エリウッドはその宝石を手にとってまじまじと眺めた。


その色は、自分の母親の目の色と同じもの。


自分の母親は、父親の事を本当に愛していた。


凄く仲のいい夫婦で、母親は父親を薄く紫がかったその瞳で見つめていた。


瞳の中に込められた想い。


その想いのあらわれがこうして結晶となったのか。


真由子が苦しみから解放され、その場に落ちた。


「紫水晶って、命を司る象徴なんだってさ。


 本で読んだ事がある。


 紫って、何となくだけど人をひきつけると思わないか。


 それも、その命の光に惹かれるからなのかもな。」


母親は、父親が生きていく支えだった。


彼の事を想い続けている事で、生きてきた。


命をあり続けさせていた。


その命のあらわれがこの結晶なのか。


「・・・・・・。」


黙ってその宝石を見つめていると、秀美はもっていきなよ、と


彼の手にその宝石を握らせた。


それをしっかりと握り締め、エリウッドは頷いた。


そして


「ありがとう。」


と、そう言って彼は飛び立っていった。




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posted by 霧沢美咲 at 09:12| Comment(2) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
緊張が解けて平和が戻ってきた感じですね〜。私も一緒に(´▽`) ホッとした気分です。

話は変わりますが・・・。
美咲さんお誕生日おめでとうございます♪
Posted by まこティ at 2005年09月14日 21:13
ええ♪次で「紫水晶」もラストを迎えます☆
お付き合い頂き、誠にありがとう御座います♪

わぁい♪お祝い、ありがとう御座います!!
嬉しいなぁ(σ`・ω・)σ ルン♪
Posted by 美咲〜まこティさんへ at 2005年09月15日 11:30
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